[沼津] interview:スキマcinema 大木真実さん(後編)「これからは“旅するシネマ”もいいかな」

8月22日に再始動した「スキマcinema」。その活動について主宰の大木真実さんへのインタビュー後編です。後編では、大木さんにスキマcinemaの作り方、そしてどうしたら自主上映会が実現できるのかについて聞いてみました。

INN THE PARK・芝生広場公園での上映会
Photo by Ebato Takes
[沼津] interview:スキマcinema 大木真実さん(前編)「人生を変える映画との出会いは、やっぱり映画館なのかも」

場所選びよりも掃除が大変

On Ridgeline毎回、上映作品と会場選びが絶妙ですよね。企画する時には場所を先に決めるのですか? それとも作品を先に決めるのでしょうか?

大木:そこはケースバイケースですね。上映したい作品があって、それに合わせて場所を探すこともありますし、場所が気に入って、そこから上映作品を考える場合もあります。
場所と作品のセレクトもそうですが、毎回、季節感も意識して企画しています。

On Ridgelineしかし、これまで旧瀬尾記念病院のX線室や、沼津市内最後の銭湯だった「吉田温泉」など、スキマcinemaはイベント開催が難しそうな場所でも上映会を実現していますよね。どうやって交渉しているんですか?

大木:沼津市内には空き地や使っていない建物がたくさんあったので、会場探しについて困ることはありませんでした。「この場所、いいな」と思った場所を市役所の方に伝えると、建物のオーナーにつないでくれたり、サポートしてもらえます。
場所を借りることはそれほど難しくないんですが、空き家なので綺麗で片付いている状態ということがほとんどないんです。倉庫として使っていたり、荷物が入ったままだったり…。

まず大掃除をして、荷物の移動して上映会ができるスペースをつくらないといけない。その作業が大変なんです。


西浦久料・The Old Bus上映『縄文号とパクール号の航海』(2019.8.3)
Photo by スキマcinema

すきま空間で映画上映を行う意味

On Ridgelineこれまで開催したなかで、思い出深い上映会はありますか?

大木:一番会場の雰囲気があたたかったのは吉田温泉です。富士山麓エリアの絵があって、丸い浴槽がある銭湯でした。そこにプロジェクタを設置して、みんなで浴槽の周りに座って鑑賞しました。

営業していた当時を知っている人は少なかったけれど、一度入ってみたかったという人はいましたね。銭湯って今は少ないので、子どもたちにとっても新鮮だったと思います。

吉田温泉での上映『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』(2017.2.26)
photo by スキマcinema

上映会を通じて、吉田温泉が長年大切に使われていた場所で、みんなに愛されていたんだなあと実感しました。

昔、活気があったところに人が集まる。そのきっかけが映画というのは良いなあと思いました。吉田温泉のオーナーは、今もスキマcinemaの活動を応援してくださっています。
この回を通じて、普段使われていない空間で自主上映会を行う、その意味が私の中で確かなものになりました。

活動をサポートするスキマクルー募集中!

On Ridgeline上映会運営をサポートするメンバーを「スキマクルー」と呼んでいますよね。Webサイトを見たら「メンバー募集中」とありましたが、どういう人がスキマクルーに参加できますか?

大木:現在、メンバーは15人ほどいます。普段はFacebookグループで情報共有していて、時間が合えばその時に手伝いにきてもらう…そんな感じで、ゆるーくつながっています。

つねにスキマクルーは募集していますので、気軽にメールなり、現場で声をかけていただければ。メンバーは映画好きがほとんどですが、ほかにもまちづくりやものづくりに興味があるメンバーもいます。雑貨屋、フォトグラファー、イラストレーターもいるので、ワークショップの企画も考えてもらっています。

これまでも、突然「映画が好きです」ってメールが送られて、それから活動に参加してくれる人もいます。スキマcinemaを始めてたくさんの映画好きとつながれたことがうれしい。
スキマcinemaの活動に共感してもらえる方であれば、ぜひメールください。

スキマクルーのメンバーたち
Photo by Asanuma Haruka

On Ridgeline:2016年からの活動を振り返って、変化はありましたか?

大木:自分たちで行うイベントは本当に小さな上映会なんですが、「一緖に何かできませんか?」と声をかけていただき、もっと大きな上映会を実現できるようになりました。

それに、スキマcinemaの上映会を通じて興味なかった人にもマニアックな作品に触れてもらう機会を作ることができているのではないかと思っています。それがすごくうれしい。そういう場をもっと作りたいです。
やっぱり映画って、みんな興味があって、参加もしやすいイベントなので。

On Ridgeline今、コロナ禍においてドライブインシアターや屋外上映をしたいっていう人も増えていると思います。自主上映を行う上でポイントがあれば教えてほしいです。

大木:自主上映ってプロジェクターとスクリーンが白い壁あれば、意外と簡単にできるんですよ。大手配給会社の作品上映は難しいけれど、Webで「自主上映」を検索すると結構たくさん作品が見つかります。

収益がトントンくらいになるレベルであれば、集客は20人くらいで自主上映会は実現できます。
ただ、スキマcinemaはもともと上映するような場所じゃないことが多いので、吉田温泉とか20人でぎゅうぎゅう詰めになる会場も結構ありますね。

ただ単に映画を上映する場としてだけでなく、特色のある企画上映が各地に広がれば、おもしろいですよね。
各地にいろんな特色の上映会があったらお客さんとして参加したいな。

沼津ラクーン屋上での上映会
Photo by Ebato Takesi

On Ridgeline再始動するスキマcinemaのこれからについて教えてください。

大木:上映用機材一式を車に積んでいけば、どこでも上映できるので出張上映とかやりたいですね。
一度、掛川市原泉まで出張上映を行ったんですが、スキマクルーと「旅するシネマみたいでいいね。楽しいよね」という話していました。
依頼があれば出張上映にも行きたいですね。

先日行われた新仲見世商店街での上映『ディリリとパリの時間旅行』(2020.8.22)
Photo by Ebato Takesi
先日行われた新仲見世商店街での上映『ディリリとパリの時間旅行』(2020.8.22)
Photo by Ebato Takesi
大木真実
Profile:グラフィックデザイナー。1979年大阪府生まれ。大阪芸術大学デザイン学科卒業後、都内のデザイン会社・広告代理店などでデザイン経験を積み、独立。沼津へ嫁ぐ。子育てをしながら仕事をしたいと思い、子どもの通学路にある新仲見世商店街に、グラフィックデザイナーのためのシェアオフィス「NUMAZU DESIGN CENTER」をオープン。また、まちの隙間空間を会場にした移動式ミニシアター「スキマcinema」を主宰。
www.daitai-graphic.com
www.ndc.design
www.sukima-cinema.comGALLERY | daitai-graphicdaitai-graphic.com
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