カリフォルニアの州都サクラメント。
そこから1時間少し北上した場所にチコ(Chico)という街があります。
サンフランシスコ周辺で古着とアンティーク雑貨をバイイングしていた頃、よく訪れていた街です。
明け方にカリフォルニアワインで有名なナパを出発し、乾燥した牧草の丘と雲ひとつ無い青い空。
ブルーとベージュのコントラスの5号線を2時間北上し、林檎とオレンジに囲まれた農道を1時間走ると、
その小さな街にようやく着きます。
街路樹の道を抜ける風が、アメリカ小説の一説をなぞるように頬を通り過ぎる、そんな景色の一部になれる街でもあります。前置きが長くなりましたが、3年前にそのチコで起きたお話をしようと思います。
昨年行きそびれた、クラフトビールで有名なシエラネバダ・ブリューイングのオクトーバーフェスに乗り込むべく、スケジュールも確認し、早めにチコでの古着買付を終わらせて、音楽が響き渡る牧草地の中の大きなテント会場に向かいました。
駐車場に車を停めて、ハロウィンコスで盛り上がる人達と足並みそろえ、浮かれ気分で受付へ。
なんと、そこで当日券が売り切れてしまった事を告げられる東洋人2人(ちなみに飲み放題食べ放題でお1人様80ドル)、
肩を落としてブリューイングのレストランでビールを楽しむことに変更。
夫と2人でテラスのカウンターでビールと料理を堪能していると、向かいの席に初老の白人カップルが座りました。
カップルの注文が済んで、お料理が運ばれると、
得意の夫の「What is the dish?」のナンパ?が始まり、4人でのお喋りがスタートです。
英語が苦手ということもあり、今までこういう時はあまり自分の仕事の話をしませんでしたが、もういい加減自分に胸を張りたく、ウエディングプロデュースをしていること、アメリカにはビンテージウエディングドレスの買い付けに来ていることを話しました。
そこからカップルの彼女の方の娘が先週サンフランシスコで結婚式をしたばかりと盛り上がり、
なんとなんと「私のベットの下に昔着たドレスがあるから、今から持ってくるわ」
って???
もう、えーーーー!ですよ。
OMGですよ。リアリー?ですよ。
で、貰いました。
ビール屋のテラスに70年代と思われる箱に大事に収まったドレスが届きましたよ。
他のお客さんの拍手とヒューヒューの嵐。
私に振られた「彼女が着るの?」の声は無視しながら、
箱からドレスを取り出し、感動しながら2人に抱き着く私は大女優でした。
さすが美味しいビールの力よ。そうとしか思えないアメージングな夜。
まさにアメリカな思い出のひとつとなっています。
秋山ヤスミ
PiLOT ordermaid wedding
小さな結婚式プロデュースとアメリカヴィンテージウェディングドレスレンタル
営業時間:10:00 〜20:00(予約制)
住所:静岡県沼津市大門町18番地
Official:Web/Instagram/Twitter