御殿場市にある住宅設計を行う「HAPTIC HOUSE(ハプティック ハウス)」。自らを住宅作家と名乗り、住宅だけでなく居心地のいいお店や空間を生み出している長尾隆行さんにお話を聞きました。
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参考 [御殿場]HAPTIC HOUSE長尾隆行さん「普段着で日常を過ごす家がつくりたい」note版『別冊On Ridgeline』
HAPTIC HOUSE独立当時は苦戦が続いた
On Ridgeline いつからHAPTIC HOUSEとして活動を開始したのでしょうか?
長尾 2007年に御殿場市で「HAPTIC HOUSE」をスタートしました。20代の頃、建築はまだまだポストモダンが隆盛の時代で、ガラスや金属を使ったツルツルピカピカしたデザインが多かった。
でも、僕はツルツルピカピカよりも、ザラザラごわごわした、人が使い込んだ手ざわりのあるものが好きだったんです。
On Ridgeline 独立後は、スムーズにお仕事が入ったのでしょうか?
長尾 いや、全然依頼は来なかった(笑)。
だから、半年かけて今の事務所兼ショールームをつくりました。さらに、秋の「冬支度展」と、春の「おすそわけ展」という展示を始めて、それは今も続いています。その時から、イベント開催に合わせて「HAPTIC CAFE」の営業も開始しました。
その後は、住宅が完成するたびにオープンハウスを実施していたので、コンスタントに依頼が来るようになりました。施主のみなさんにご協力いただけるようであれば、なるべくオープンハウスをやるようにしているので、HAPTIC HOUSEのカラーはそこで感じていただけるはずです。
On Ridgeline 設計するにあたって住宅と店舗では違いはありますか?
長尾 家を設計している延長線上で店舗も設計しています。そもそも僕に頼むってことは、そこを求められているってことだと思うので。だから、住宅も店舗も同じ脳みそでつくるようにしています。
でも、お店を始める人で資金に余裕のある人はまずいません。そのため予算的に厳しい依頼も多いのですが、店舗は住宅と違って、いろいろな人が見てくれて、HAPTIC HOUSEのことを知ってもらうきっかけにもなるので、ギリギリ赤字にならないようであれば受けるようにしています。
とはいえ、僕がやるからには質感にはこだわりたい!
コストダウンしつつも、そこはアイデアでカバーするようにしています(笑)。
自然素材にこだわった自宅兼ショールーム
On Ridgeline ご自宅もすごく素敵ですよね。
長尾 自宅はショールームという役割もあります。やっぱり展示場と違って実際に住んでいるから、家の見え方も、話せる内容も違ってくる。
もちろん、素材と質感にはこだわっていますよ。リビングは富士山の石を使って、台所の床も石材を使っています。壁には珪藻土も使っているし、和室もあるので畳や和紙、いろいろな自然素材の質感が感じられる。
On Ridgeline 玄関に薪ストーブも設置していますね。今は「薪ストーブを置きたい」という施主からの要望も増えているのでは?
長尾 我が家の玄関に薪ストーブがあるのは、風の通り道を意識しているからです。薪ストーブのあたたかい空気が玄関からリビングに流れて、2階の寝室まで伝わるように考えた上のプランです。
それに実際に薪ストーブを使っているから、自宅で使いたい人にもアドバイスできる。
薪ストーブ設置に100万円近くかかるからね。「近隣から煙でクレーム来て使えなくなった」じゃ、もったいない。
土地・中古物件探しからお手伝いすることも
On Ridgeline リノベーションの依頼も増えてきたとのことですが、その場合は物件の状態が重要ですよね。
長尾 施主と一緒に候補物件を見てまわることもあります。でも、それってすごく大事なことで、場合によっては、僕が購入を止めないといけない。
修繕費用だけで予算を使い切ってしまうような不良物件を勧めてしまったら…。みんなハッピーにならないからね。
今は親身になってくれる不動産屋さんとのつながりもできたから、時々条件の良い中古物件の情報が僕に入ることもあります。
On Ridgeline オープンハウスや月イチ営業のHAPTIC CAFEにくる方も、過去に設計依頼した人が多いようですが、もともと知り合いやお友達だったのでしょうか?
長尾 いや全然違う。設計を通じて仲良くなった人たちばかりです。設計中は打ち合わせが長いし、さらに、預金残高や家族の話まで深く聞くことになる。下手したら親戚よりも長く、深く過ごすことになりますからね。
だから、施主家族みんなと仲良くなる。それも安心感につながればいいかな。
HAPTIC HOUSEでは納得できるプランが見えるまで、たっぷり打ち合わせして、完成までに最低でも1年から1年半くらいかかります。だから、「半年後に家がほしい!」って言われても無理。
今すぐ家を建てたいという人は、うちは向いていないです(笑)。
大御所の建築家って、施主からも「先生」と呼ばれて、家が完成したら施主から「私たちは何も言っていないのに、こんなに素敵な家ができました!」とか言われたり。
そういう関係性は僕は嫌だな。家は“住人らしさ”が伝わる家がいいと、つねに思っています。
やっぱり家で生活スタイルも、人生だって変わるからね。
[HAPTIC HOUSE]
住宅設計、リノベーション、店舗デザイン、家具デザイン
エリア:静岡県東部、神奈川県西部エリア(御殿場市から車で2時間圏内)、群馬県、埼玉県北部
住所:〒412-0045 御殿場市川島田1706-6(ショールーム・アトリエ)
TEL:0550-70-6660
Official:Web/Instagram/blog
※展示会・イベントの開催情報はInstagramをご確認ください。
[HAPTIC CAFE]
毎月第4日曜・月曜に、HAPTIC HOUSEショールームでオープンするカフェ
営業予定とメニューについてはInstagramからご確認ください。
Official:Instagram